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転職サイトPROSEEK > 転職コラム > 仕事のモチベーション > vol.06 出張勝也氏 (株式会社オデッセイコミュニケーションズ)
プロフィール

1959年高知県生まれ。84年一橋大学法学部卒業、同年コンサルティング会社ブーズ・アレン・ハミルトン入社。87年ハーバード・ビジネス・スクール(MBA)卒業、同年投資銀行バンカーストラスト入社。その後、北岡靖男氏(TOEIC開発者・故人)のサポートを受けながら、96年オデッセイコミュニケーションズ設立、代表取締役社長就任
<会社概要>
主力事業は、マイクロソフトのオフィス製品を対象とした資格試験の運営。代表的な資格「Microsoft Office Specialist(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)」は、2003年に31万テスト以上実施され、累積合格者数は100万人を突破した。それ以外にもPC資格試験「IC3」の運営や、「セサミストリートパートナーズジャパン」設立に参加、次々とビジネスを拡大させている。HPはこちら
新入社員は2〜3部署経験させ、全社的な視点を持たせている。オフィス内部には社員の休憩スペースが多く取られているのも特徴。育児休暇を取得しながら女性も長い期間に渡り活躍している。
「丸の内起業塾」の副塾長を務める。参加者のほとんどは会社員、出張氏も講師としてレクチャーする。

――まずは、起業の“きっかけ”を教えてください。
出張:僕の場合、偶然が重なり北岡靖男さん(TOEIC開発者・故人)と出会ったことが、すべての出発点でした。投資銀行にいた頃、知人に誘われたランチミーティングに出席して、北岡さんに初めてお会いしました。その後僕は会社を辞め、彼のところにお世話になります。その当時、知人がマイクロソフト関連の仕事をしていて、同社が「オフィス」を対象とした資格を始めたいとの希望をお持ちであることを知りました。そのプロジェクトを、日本でやらせていただいたのが当社の始まりです。別に僕は教育者ではないし、決して教育だけをやりたいわけではなかったんですよ。
――てっきり「教育」をやるため起業したのかと思いました。
出張:複数あった選択肢の1つぐらいのイメージです。ただ、これまでもコンサルティング・金融と、「情報産業」に携わってきたので、方向性は合ってました。ただ、同じ情報産業でもコンサルティングは、物事を実行する力、「オペレーション」が弱い。自分の人生が今後どんな展開になるか分かりませんが、何をやるにしてもオペレーションの力は“背骨”になると思っています。
――社長業は面白いとおっしゃってますが、どんな点が面白いのでしょうか?
出張:社長を経験して、今まで見えなかったことが見えるようになりました。まず「人」については、一生懸命働いてほしいわけですから、「人」のことを詳しく理解しようとします。それは同時に自分の性格も知ることなるのです。お金についても、資金繰りに苦しんだほどではありませんが、価格の設定次第で、取引先は離れるし、社員の給与を左右することになります。お金に対する考え方も随分変わりましたよ。
――参加者に会社員が多い「丸の内起業塾」で、彼らに何をアドバイスしていますか?
出張:まず起業の条件は3つあって、「人との出会い」と「ピンとひらめくもの」、そして「タイミング」だと僕は考えています。実際、僕の場合も北岡さんと出会い、「情報産業」というキーワードがあり、友人からマイクロソフト関連の情報を得て、この会社を設立しました。

受講者には「捉われるな!」と強調しています。「100年続く企業にしたい」なんて、高邁な理念を掲げる人もいますが、生き残る会社は万に1つ。最初の1〜2年をどうやって売り上げを立てるか、真剣に考えてほしい。実際に起業するとなれば、まず「何をやるか?」がポイントになるでしょう。ただ、それは自分の「ひらめき」で決めるものだから、本などに「これから○○という産業が伸びる」と書いてあっても、その分野で起業する必要はないと思います。
――会社を起こして、苦労したことはありませんでしたか?
出張:今も苦労の連続ですよ。来年も大変でしょうね(笑)。でも社長は逃げるわけにはいきません。何が起きても、世の中の終わりじゃないと言い聞かせ、めげずに対処するしかないです。
苦労したといえば「人」の問題ですね。やはり起業するときは、どんな状況にあっても、共に苦労してくれる仲間を何人持っているかが大切。今でも決して僕のマネジメントが巧みだとは思いませんが、幸いなことに当社は真面目な人が多く、とても助けられています。僕が理想とするのは、お金以外の絆(きずな)で結ばれている組織になることです。
――MBAを取得して、なぜ投資銀行に転職しましたか?
出張:新卒で外資系のコンサルティング会社に入社しましたが、相手にするのは国内企業だけ。ところが金融は、ニューヨークやロンドンなど海外との接点が多い。だからこの道を選びました。高校時代から国際交流に関心があり、海外と取引するのが好きだったのです。今の仕事もそうですが、人は自然と好きな道に収れんすると思う。僕はよく「選択肢の偶然性と必然性」と表現しますが、1つひとつの出会いや選択は、偶然の出来事のように見えます。しかし、長い期間で見ると実は必然的な何かが隠されているのではないでしょうか。
――投資銀行では、どんな仕事をしてましたか?
出張:累積債務国向けの銀行債務を売買する仕事です。海外には専門市場もありましたが、それをお願いして東京でもやらせてもらったのです。決して面倒見のいい組織ではなく、自分が主導するしかありませんでしたね。投資銀行の仕事は「口八丁、手八丁」の部分も多く、やはりアグレッシブさと、かなり厚かましくないとダメ。「何もなくてもとにかくアポとって会いに行け」と言われても、最初は意味が分かりませんでした(笑)。そうしなければニーズも何も分からない、ということなのですが、慣れるには少々時間がかかりました。
――投資銀行の経験は、今どのように役立ってますか?
出張:まずよく働くこと。今でも僕がこのオフィスを一番最後に出ることも多いぐらいです。そして、あらゆる業界とお取引しますから、人脈が広がったことが今でも財産になってます。「フラットな組織」に慣れたこともよかったですね。社員の声を聞くと「社長との距離が近い」という意見が集ります。評価の方法も投資銀行は手数料ビジネスですから評価はその年限りで、翌年はゼロからスタートします。おかげで過去の遺産にすがるような人はいないし、フェアな考え方が植え付けられたと思います。僕が投資銀行で1番学んだのは「自分を助けるのは、自分しかいない」ということですね。
――最後に転職を考えている人へ、メッセージをお願いします。
出張:転職を考えている人の中には、現実から逃げている人が多いかもしれません。もう一回、今いるところで頑張ってみてください。転職するにしても、今の職場での評価がないといい転職はできないと思うし、給料を貰っているは今の職場ですから。やれるだけチャレンジした上での最終結論が転職ではないでしょうか。
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